お知らせ

ほんものに触れる #08

 コロナ禍で中止していた年長「月組」の茶道教室が再開して、もう3年が経ちました。 今日は、その9回目。年長さんが年中・年少さんをおもてなしする、特別な一日です。年中・年少さんにとっては、人生ではじめての“お茶会”です。

 この茶道教室を3年前に再開するにあたって、私たちの心にはいくつかの迷いがありました。
「幼児に茶道を学ぶ意味はあるのだろうか」
「やらされるだけの、窮屈な時間になってしまわないだろうか」
「『子どもの主体性を大切にする』という本園の方針と矛盾しないだろうか」
そんな問いを抱えながらも、私たちは茶道教室の目的を次のように定めました。
○ 日本の伝統文化に触れる
○ 日本の美しい所作を学ぶ
○ 美しい心を育む

 実際に子どもたちは、こうした目的を、頭ではなく五感を通して受け取ってくれています。
・ 茶筅がお茶碗の底をすべるときの音と手ごたえ
・ 抹茶を立てているときに立ちのぼる香り
・ お茶碗を両手で包んだときのぬくもり
・ 口に含んだ瞬間に広がる抹茶のほろ苦さ、あるいは甘み
子どもたちは顔を見合わせ、思わず笑い合い、感じたことを言葉にしながら、何とも言えない豊かな時間を過ごします。

 そして、この茶道教室には、実はもう一つの“裏メニュー”があります。 それは「本物に触れる」ということ。これは、本園がずっと大切にしてきた教育の柱です。
本物の畑や田んぼでの活動
自然の中で過ごす「森の教室」
東大寺の住職さんに案内していただく大仏殿見学
芸術家と過ごす「アートの日」
そして、この茶道教室もまた、その一つです。

 本園で使っているお茶碗は、茶道教室をご指導くださっている前園先生と徳永先生が、奈良のお店を巡りながら、
「このお茶碗で、子どもたちがお茶を学んでほしい」
という願いを込めて、一点一点選び抜いてくださったものです。今年は、その仲間に新しいお茶碗が加わりました。

 瀬戸で窯を開き陶芸家としてご活躍されていた保護者様のご祖父様が作られたお茶碗です。手に取ると作り手の息づかいが伝わってくるような、温かみのある器です。こうした「本物」の道具にお抹茶を入れ、茶筅で点ててお出しする―。ペットボトルのお茶では決して味わえない、「本物のお茶」の世界がここにあります。
 幼児期に、既製品ではない“本物”に触れる経験を重ねること。それは、子どもたちの感性を育み、将来の豊かさにつながると、私たちは信じています。
 2月13日(金)は、年長「月組」の保護者のおもてなし参観(茶道参観)です。 子どもたちは、日頃の感謝の気持ちを胸に、心を込めて一服をお点ていたします。
 どうぞ楽しみにしていてください。

〈P.S〉
 今日のおもてなしでは、たくさんの「おいしかった~。」という声に混じり、
「にが~い。」
「舌がイライラしてきた。」
「鬼の味がした!」
といった声もありました。子どもたちの表現って、面白いですね。