お知らせ

作品展に寄せて② #07

 「作品主義」って言葉、聞いたことがありますか?
 調べてみると、「作品主義」とは映画や演劇、建築などの分野で使われる言葉で、
「作り手の個性や精神を尊重し、成果物を単なる商品ではなく芸術的・文化的価値を持つものとして扱う思想」
とあります。つまり「作品主義」とは、
「作り手の魂が宿るものこそ作品である」
という考え方です。
 わたしたちの目指している作品展もこうした考え方のもとにあります。
・子どもが遊びのなかで、楽しんでつくり出す。
・心の底から「つくりたい」と感じたものを表現する。
それがわたしたちの目指している作品展です。

 ところが、教育の世界で使われる「作品主義」は、展覧会やコンクールで良い成績を収めるための対策やテクニックを優先させた、いわゆる良い成績を得るための作品づくりのことを指します。子どもの個性や心の底から出てきた表現を優先させるのではなく、受け手側にアピールする作品、見栄えがいいように整えた作品となるように“指導”を入れる。それが「作品主義」と呼ばれるものです。

 わたしたちは、こうした教育の世界での「作品主義」とは一線を画しています。
 ですので金太郎あめのように“同じような作品”とはなりません。だから、どうしても隣の作品と比べてしまったり、ほかの作品が気になったりします。そして、
「……。」
となったりもします。
 でも、
〈友だちの作品と比べる〉
〈大人の美醜で判断する〉
〈自分の価値観で評価する〉
こうした視点からは“子どもの作品のよさ”は見えてきません。

 金子みすゞさんの有名な詩に、
わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面(じべた)をはやく走れない。

わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように、
たくさんなうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。

があります。
 この最後のフレーズ「みんなちがって、みんないい。」とは、
「みんなちがっていても、みんないい。」 
という言葉でしょうか。
 確かに「あなたは、みんなと違っていてもいいんだよ」という言葉は一人ひとりの個性を大切にしようとする言葉です。でも、その後に「その違いこそが、あなたらしさなんだから大切にしようね。」という思いを込めた、
「みんなちがっているからこそ、みんないい。」
という教育をめざしたいと思っています。

 明日の作品展ぜひ、お子様とお友だちのそれぞれの「みんなちがって、みんないい」を見つけてください。